県立一戸病院は、岩手県北部の二戸郡一戸町の中心部にあり、東に北上山地、西に奥羽山脈に抱かれ、さらには県内第二の大河「馬淵川」が眼下を流れる風光明媚かつ自然に恵まれた療養環境の中に建っている。
昭和初期県北部には久慈町(現久慈市)と福岡町(現二戸市)に病院があるだけで医療事情は地域格差が大きく、無医村の問題がクローズアップされていた。
これを受けた医療産業組合病院の設立運動が各地に起こり、県北地区の無医村問題は大変深刻なものであったことから、県は昭和6年に県立一戸診療所を設置した。後に「農村医療中央機関設置要綱」が昭和18年に交付され、県では一戸診療所を廃止し、昭和19年に県立一戸病院として開院した。
終戦後、昭和23年日本医療団が解散したことにより、国民健康保険連合会に経営を委託することとなり、県立一戸病院は「岩手国民健康保険団体連合会」に改組し、経営を委託された。
こうした変遷を経て昭和25年11月1日で県営移管となった。
移管時の病院規模は、病床数57床、診療科6科、職員数は医師7人を含め40人であった。
県立北陽病院(旧二戸療養所、現一戸病院)は、県北地域は県内で最も結核罹患者が多いことから、昭和29年4月に結核病床100床の二戸療養所が誕生し、同年12月に2期工事により結核病床200床に増床された。
昭和30年度に入り、入所患者は逐次増加し、一日平均入所患者が140人を超す状況となったが、この頃から小中学校の集団検診で結核罹患児童が発見され、当所に入所するケースが多くなり、これらの小中学校の教育・学習が無視できない問題として取り上げられ、二戸教育事務所、町教育委員会等が協議、検討した結果、昭和32年4月に全国でも例のない、一戸町立小・中学校の養護分校を療養所内に設置し、その教室として一部の学校の分校を療養所内に設置し、多いときには地元だけでなく青森県南部および岩手県沿岸部から小学生45人、中学生16人が療養分校に入学した。その後、結核撲滅の諸政策の効果が顕著に現われ、当院においても昭和35年頃から入所患者が減少してきた。
一方、精神病院の病床不足が目立つようになり、特に県北地域においては、精神科の施設は久慈市に一つだけであり、明らかな精神病床不足の解消を図るため、昭和38年4月に二戸療養所に併設して精神科病棟55床が増設され、結核200床、精神科55床の療養所が誕生した。
その後、精神科の入院患者が増加し昭和41年には精神病床100床、結核病床150床となった。
また、昭和50年には精神150床、結核100床となった。
このように精神病院としての性格が強くなってきたことから、昭和51年に病院運営協議会で検討がなされ、昭和52年に北陽病院と改称し、県北地方における精神科医療を担って新築移転することとなった。
昭和53年結核病床100床を転用し、単科精神病院(250床)として東北随一の近代的な機能を整えた病院としてスタートした。
平成7年医療局の方針として、県立一戸病院と県立北陽病院の合併問題が提起され、現在の精神医療が、これまでの入院医療を主体とする医療から、外来治療を含めた社会復帰を目指す医療に代わってきていること、精神科の患者の中には一般医療も必要となってきていること等から、同じ一戸町にある両病院を統合することとし、現在の地に新築移転し平成12年4月1日に開院した。
旧一戸病院
昭和6年 | 県立一戸診療所 |
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昭和19年6月4日 | 県立一戸病院(57床) |
昭和23年4月1日 | 経営移管 岩手県国民健康保険団体連合会一戸病院 |
昭和25年11月1日 | 経営移管 岩手県立一戸病院 内科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・物療科 57床 |
昭和28年4月1日 | 県立一戸准看護学院開設 |
昭和40年8月1日 | 総合病院名称使用承認 |
昭和46年5月30日 | 全面改築 一般120床・結核28床・伝染8床・計156床 |
昭和55年4月1日 | 県立一戸高等看護学院開設 |
昭和56年8月10日 | 人工透析設置 |
北陽病院
昭和29年4月20日 | 県立二戸療養所開設 内科・外科(結核のみ)100床 |
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昭和32年4月1日 | 一戸町立小学校・中学校養護分校併設 |
昭和38年4月1日 | 精神科開設 結核200床・精神科55床 |
昭和52年4月1日 | 県立北陽病院と改称 |
昭和54年5月1日 | 移転新築 250床(精神科のみ) 歯科を標榜 |
新一戸病院
平成12年4月1日 | 開院 敷地面積:51,194平方メートル 病床構成:一般145床・精神225床・感染4床 計374床 診療科:内科・精神科・神経内科・小児科・外科・整形外科・泌尿器科・ 産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・歯科 12診療科 |
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平成12年5月1日 | 皮膚科設置 |
平成15年3月31日 | 産婦人科廃止 |
平成15年5月1日 | 病床種別の変更 一般97床・療養48床・精神225床・感染4床 計374床 |
平成15年8月1日 | 院外処方せん全面発行 |
平成15年10月30日 | 「臨床研修病院(施設番号031191)」指定(厚生労働大臣) 協力型臨床研修病院(岩手医大、県立中央、県立二戸) |
平成15年10月31日 | 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第33条の4の規定に基づく 「応急入院指定病院」として指定(岩手県知事) |
平成16年4月1日 | 第1病棟(一般病棟)休止 48床 稼働病床数 一般49床・療養48床・精神225床・感染4床 計326床 |
平成16年8月20日 | 県立一戸高等看護学院が二戸市に移転し、県立二戸高等看護学院と改称 |
平成16年10月1日 | 病院建物内での全面禁煙実施(ただし精神科病棟は完全分煙) 病院内(使用許可区域)での携帯電話の使用開始 |
平成16年10月23日 | 「新一戸病院開院5周年を祝う会」開催 |
平成18年3月1日 | ISO14001(環境マネジメントシステム)認証取得 |
平成18年10月27日 | 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第33条の4の規定に基づく 「応急入院指定病院」として指定 (指定期間平成18年11月1日から平成21年10月31日 岩手県指令障第739号) |
平成18年11月1日 | 障害者自立支援法第59条第1項の規定による指定自立支援法 医療機関(精神通院医療)の指定 |
平成20年3月1日 | 第3病棟(一般病棟)休止 49床 稼働病床数 一般48床・療養48床・精神225床・感染4床 計325床 |
平成21年3月16日 |
(財)日本医療機能評価機構 病院機能評価認定 |
平成22年1月6日 |
病床数の変更 一般48床・療養48床・精神225床・感染4床 計325床 |
平成22年1月6日 |
一戸町有料老人ホーム「ナーシングあいあい」一戸病院5階に開所 |
平成25年10月1日 |
病床数の変更 一般48床・療養47床・精神225床・感染4床 計324床 |
平成29年1月1日 |
第8病棟(精神病棟)休止 58床
稼働病床数 一般48床・療養47床・精神167床・感染4床 計266床
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平成31年1月1日 |
第2病棟(療養病棟)廃止 病床数の変更 一般48床・精神147床・感染4床 計199床 |