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院長挨拶

 2025年度は本県県立病院の新たな経営計画が始まる年であり、今年度は準備の年になります。

 当院が地域の皆さんにとり必要な機能を維持するためには医療過疎地という弱みに対処する方法が必要となります。すでに世界中の業種でICT(情報通信機器)が使用されている中、当院もNPO法人カシオペア医療介護支援センターの情報通信システム構築に向けた検討委員会に参加させて戴き、介護施設、行政、病院など地域官民との情報共有を行うための準備を始めました。また、2023年度末からはオンライン診療を開始。慢性的な医師不足・医師の高齢化への対処と患者さん側の利便性を鑑みて今後も診療行為のみならず相談業務などにも活用して参りたいと考えております。

 さて、地域の高齢の方が多く受診する当院の在り方は如何に、ということで少し夢心地な発言をお許しください。

 今後20年後を見据えて少数の生産年齢人口が75歳以上の高齢人口を支えていこうとするとき、「最後まで過ごす居場所」は、パーソナルを尊重しかつ共生生活に叶うような建物(仮称テラスハウスとしましょう)になればうまくいくかもしれないと想像しています。テラスハウスを切り盛りする職員(官民協働)やボランティアに支えられて人生最後の時期を過ごすのです。もっとも人生の最後への関心はACPという考えもあるように様々ですから、ここでは家族と同居することや単独生活が困難であるとかそれを望まない人たちの話です。結構な数になるのではないでしょうか。然るにそのテラスハウスとは現在の介護施設でもなく、居ながらにして適度な医療行為を受けられ、自室は個室、人恋しくなればカフェブースに集えるし、空が見たければ中庭にでられる。身の回りのことはそんなに心配する必要はない。時々家族や知人が会いに来る。そうして最後の時を迎えられる。そんな居場所を作っていけないものだろうか。当院は入院として患者さんの生活の一時を支えるが最後まで関わるテラスハウスにはなれず、あくまでも医療の中の入院生活で締めくくっています。現在の介護系の施設ではいかがなのでしょう。ここでもまた簡素だが適切な医療行為を十分に受けられるわけではない。互いにかゆいところに手の届かぬもどかしさがあると思います。こういった「最後の居場所」を作るには医療と介護の複合的な仕組みが必要と考えます。言わばすべてが過疎の当地ですから、ならではの手を考えるとき、それを実行できるのは先に挙げたNPOのような法人や国の挙げる地域医療連携推進法人なのかもしれません。資源の少ない地域ならではの、官民が組んで人・物・金を複合的に稼働させる何らかの仕組みができたならば安心感を持って老後を迎えられるのだと思います。現在から20年後に対し、心を込めてできることを模索していきたいと思っております。

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